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2023.08.31

宿泊施設で活用できる「先制マーケティング」とは

先制マーケティングとは、競合が持っていない価値、もしくは持っているけどやっていない事を先んじて自社で展開するマーケティング活動です。要するに「早いもの勝ち」の戦術です。

この「早いもの勝ち」の戦術が、時にはとてつもない威力を発揮します。

全てのマーケター必読の名著「ハイパワー・マーケティング(ジェイ・エイブラハム著)」から、とあるビール・メーカーの事例を交えて、詳細をご紹介します。

 

業界の「当たり前」の中に眠る大きなチャンス

以下は「ハイパワー・マーケティング」で紹介されていた、とあるビール・メーカーの事例です。

 

<シュリッツ・ビールの事例>

1920年代初頭、10社ほどの醸造会社が精力的に競い合っていた。

シュリッツの業績は今一つで、市場で第8位に甘んじていた。どの醸造会社の広告も、基本的には同じメッセージ・・・ 「私たちのビールは純度が高いものです」 だった。

 

ところが、これがどういう意味なのかを説明する会社はなかった。ただ、「純度が高い」と言い続けていたのである。

 

シュリッツは売上を改善すべく、一人のマーケティングコンサルタントを雇った。

そのコンサルタントは、醸造所を見学し、シュリッツではどうやってビールを作っているのか聞いた。

そして彼はその内容に実に感銘を受けた。

 

・最高のビールを作るのに最適なミネラルを含有した水を得るために深さ1,500mの井戸を2つも彫っていた。

・一番豊かな味と口当たりを生み出す醸造酵母菌の元菌を見つけ、それを開発するのに、5年以上かけて1,623回の実験をし

 ていた。

・ビールの醸造に使う前の水の蒸留に、熱して再び冷却して液化する作業を3度も繰り返していた。

・ビン詰めでは、 高温の蒸気にあてて、ビールの味に影響を与えそうなバクテリアや微生物を殺菌していた。

・ビン詰めして送り出す前に、純粋で豊かな味を確認するため、一度の醸造ごとに必ずテイスティングをしていた。

 

コンサルタントは、その醸造過程に圧倒され、シュリッツの経営陣に提言した。

「消費者にビールを醸造する際の驚くべき工程を知らせるべきです。」

それに対して、シュリッツの経営陣の答えはこうだった。

「なぜ、そんなことをする必要が?どこの醸造会社もうちと同じことをやっているのに」

先制のマーケティングの概念を理解していたこのマーケティングコンサルタントは、反論した。

 

「しかし、ビール業界で、消費者にそれを知らせた人は誰もいません。何かをやって、最初にその話をしたり、理由や成り行きを説明する者が、そのときから、他の者にその市場で差をつけ、優位に立つものです。」

こうして、シュリッツは、自社のビールがどうやって作られているかを業界初で宣伝した。

 

消費者には、シュリッツが見せた醸造やビン詰めの工程が他社のものとは格段に違う、はるかに価値のあるものに見えた。

 

その結果、どのビール会社よりもシュリッツが魅力的な存在に思えるようになった。

シュリッツは、こうして先制のマーケティングを始め、半年で、業界で売上8位から見事1位になった。

(参照:ハイパワー・マーケティング)

 

宿泊施設における先制マーケティング

 

温泉、料理、接客・・・等。

宿泊業界では当たり前だけど、消費者は知らない価値はあるでしょうか?

例えば旅館ではお食事は「旬の会席」、温泉は「美人の湯」といったメッセージが定番です。

シュリッツ・ビールのように「新鮮な食事」や「温泉の効果」の裏付けとなる背景情報、ストーリーをあえて発信する事が重要です。

業界では当たり前、でも競合がやっていない事を探してみてはいかがでしょうか。

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