旅館・ホテル様向け事業デューデリジェンス

宿楽は、数多くのホテル・旅館の業務改善に携わって得た豊富な経験と、その経験に裏打ちされた確かな知識に基づき、旅館・ホテルを取り巻く客観的な事業環境(外部環境・内部環境)について詳細に調査分析したうえで、その施設が抱える「本質的課題」を抽出し、今後取り組むべき戦略の方向性を明確化します。そして、貴施設の置かれた実情に合った業績改善策をご提案いたします。

温泉旅館再生事例~経営難の温泉旅館がどのようにして立ち直ったか?~

① 取引金融機関の破綻により、債権(借入債務)がサービサーに譲渡された案件

② 後継者不在の温泉旅館再生事例

③ 競争に勝つためにあえて選んだ再生の道

④ 旅館再生専門コンサルタントだから為し得た再生案件

取引金融機関の破綻により、債権(借入債務)がサービサーに譲渡された案件

経 緯

メイン銀行であった地元金融機関が破綻し、その債権(金融債務)はRCC(株式会社整理回収機構)に譲渡された。
一変してRCCに弁済のみを要求され経営者は困惑していた。
この旅館は、創業50年で地域においては名物旅館として知名度が高い。経営者も地域の観光活動のリーダー的存在である。
平成に入り旅館を全面リニューアルし、その資金を借り入れしていた。RCCの要求する弁済は現在のキャッシュフローからは困難であった。
経営者の依頼によりRCCと交渉を開始。
売上高、キャッシュフロー等、業界平均値との比較により、運営能力が有ること粘り強く説明した。
後継者を社長に抜擢した会社分割による新会社設立のスキームにて、実質債権放棄を実現する。

スキーム図(会社分割方式)

スキーム図

スキーム実行後

今スキームで借入金が5分の1になり、弁済が実行可能となった。
経営者の責任は、社長・女将が役員を退任する、また自宅を売却することで決着した。
社長の自宅は、親戚が買い取ることになり、従来通り住み続けている。

時には、一番交渉の難しい(関係がこじれた)金融機関やRCC等との交渉にも対応し、功を奏することができます。

後継者不在の温泉旅館・再生事例

経 緯

昭和40年代に大型飲食店等を開業し、その成功により、昭和60年代に旅館を建設オープンさせる。
最盛期は年商25億円(内旅館の年商10億円)を超え地域の最大手企業となる。
しかし平成に入り、近隣に高速道路が開通してから飲食店事業が傾き始める。
直近では飲食店事業の売上が最盛期の20%まで下落してしまった。
創業社長は高齢で、現社長も元来宿泊業には向かないらしく、他地域で全くの異業種の経営を行っていた。実質後継者不在の状況であった。
200人を超す雇用をしており、破綻すれば地域経済の影響は大きいことが予想される。
飲食店事業は赤字だが、旅館部門は有る程度の利益が出ている。
銀行交渉を行い、専務(創業者一族とは血縁なし)を社長に抜擢し、官民ファンドを活用した、再建に銀行団は合意した。

スキーム図(会社分割方式)

スキーム図

スキーム実行後

担保能力の無かった専務には、銀行融資がつかなかったため、能力評価を重視したファンドの融資を活用した。
創業経営者一族は経営責任を取ったが、結果的には株主責任のみであった。
旅館業をコア事業とし、資源を集中させ、弊社の業務支援も導入し、現在は前年売上対比も明快に増加し好調である。

企業再生にも様々な手法があり、「何が一番ベストか?」を追求し実現することが可能です。

競争に勝つためにあえて選んだ再生の道

経 緯

この旅館は地域一番店で、社長は観光団体の理事長を務める名士である。
この地域の温泉地は再生組が多く、県外・大手資本により再生され、巨額な資金力を背景にリニューアル攻勢が強まっていた。
銀行へは何とか返済していたが、今後のマーケットにおける競争激化、宿泊単価の減少により今後の経営が成り立たなくなるのではないかと脅威を感じていた。
メイン銀行も理解を示し、社長の子息を中核とした新会社設立と実質的債権放棄に交渉の結果応じたが、子息は20代前半とあまりにも若すぎるため、スポンサーを入れる条件を出してきた。
地元老舗企業に新会社の出資と代表取締役の提供でスポンサーになってもらう。
銀行団と旅館経営者も信頼できるスポンサーであるとし、再生計画が決まった。

スキーム図(会社分割方式)

スキーム図

スキーム実行後

金融債務は約20億円から6億円になり、弁済可能となった。
また、スキーム後は、弊社の業務支援を導入し、前年売上高対比138%と好調である。
メインバンクはその好調を背景にリニューアル資金の融資を決断した。
第三者においてはこの様な一連の再生が有ったとは分からない。
前社長は会長職として現場で活躍されてる。

何よりも経営者の危機感により、一早く企業再生に踏み切ったことが勝因です。

旅館再生専門コンサルタントだから為し得た再生案件

経 緯

他の経営コンサルタントが扱っていた旅館案件。
再生計画中の設備維持費用やリニューアル費用の妥当性が乏しいとして、銀行団から検証する
ようER(エンジニアレポート)の依頼があった。
ERとは建物・設備診断で、宿泊業を維持継続するために必要な更新費用算出の業務である。
診断結果は、法律に抵触しないが、耐震性が弱く、複雑な増築建物であるため、設備更新するためには大部分を取り壊す必要があり、当初の再生計画をはるかに上回る設備更新費用が算出された。
当初の再生スキームでは、いわゆる第二会社方式で子息が社長になることとしていたが、子息は、このような建物・設備を引き継ぐことを拒否し、改築費用を提供してくれるスポンサーをつけることとした。
スポンサーに不動産を取得及び改築してもらい、賃貸料を支払う方式で再生が実現した。

スキーム図(会社分割方式)

スキーム図

スキーム実行後

もしERをしていなかったら、継続困難な建物設備を引き継いでいた。再生半ばで負担しきれない設備更新費用が発生していた可能性が強い。
子息はERにて、見えなかったリスクが回避できたとして、現在は迷い無く新会社の経営で活躍している。
机上だけではなく、旅館再生においては重要な建物設備診断の提言は、旅館再生コンサルタントだから為し得たことである。

世の中には、多くの経営コンサルタントがいらっしゃいますが、BS(資産・負債)とPL(収支)の両方をしっかり改善できるのが当社の強みです。